Jazz

2016年9月14日

ジャズ喫茶

ジャズ喫茶という店があることをご存知だろうか。ここは普通の喫茶店やカフェとは違う。一般的な喫茶店でもジャズはかかるが、ジャズ喫茶は独特。

ジャズ喫茶とは、店にあるジャズのレコードやCDの手持ちのアルバムを高級なオーディオでかける店。ジャズをいい音で聴かせる店。だから、今かかっているアルバムのジャケットも見ることができ、アルバムのリクエストもできる。また、じっくり聞いて氣に入ったジャズがあれば、ジャケットを見せてもらってメモをし、後日目当てのアルバムを買うこともできる。たいがいのジャズ喫茶はアルバム1枚につき20分ほどかける。レコードの片面が20分のため。普通の喫茶店ではユーセンを使いその店の人はアルバムの選曲をしない。一方、ジャズ喫茶では店の人が自分でアルバムを選んでかける。なので、店の人は来た客の雰囲氣に合わせて選曲する。その選曲で店の人の実力が問われる。

そのため、ジャズ喫茶では沈黙の会話がある。
(このアルバムでどうだ。)
(いや、面白くない。)
(では、これでは。)
(いいね。)
無言で店の人の選曲と客の態度だけで会話を交わす。これはジャズ喫茶ならでは。この無言の会話が楽しめるようになったら、店の人に認められたことになる。

ジャズ喫茶でも店によっては、昼はコーヒーを出し、夜は酒を出すところもある。

ユーセンのジャズをかける一般的な喫茶店しか知らない人は、ジャズ喫茶に通っていくうちにジャズにも様々なジャズがあることを知り、驚くことだろう。

ところで、ジャズ発祥の地アメリカでは、ジャズの店といえばライブをするところが多いと聞く。日本のジャズ喫茶のように手持ちのアルバムを高級なオーディオでかける店は独特のようだ。ジャズはアメリカの音楽だが、ジャズ喫茶は日本の文化だと思う。アルバムを大切にし、機械に凝るのだから。商売道具だから、大切にするのは当たり前かもしれないが、店の人のアルバムへの、ジャズへの思い入れの強さは半端ではない。店のマスターはぶっきらぼうで恐い人かもしれない。それでも、真剣にジャズを聴き続けていくうちに、マスターから声をかけられるかもしれない。
「コーヒー、おかわり、どうだい?」
そんな親しみの言葉をかけてくれたら、奥深いジャズの世界に案内してくれるだろう。

一度、ジャズ喫茶の扉を開けてくれることを願っている。

2014年8月30日

知的な黒人ピアニスト

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Ahmad Jamal ”The Awakening” 1970


アーマッド・ジャマルは黒人の男性ピアニスト。知的なジャズピアニストでまず挙がる名前が白人のビル・エヴァンス。黒人の知的なピアニストなら、このアーマッド・ジャマルだろう。ジャズの黒人ではブルース感覚を得意とする者は多いが、彼は違う。彼の代表作は『
But not for me』(1958)。本作はその後にスタジオで録音されたピアノトリオ。このアルバムなら、3曲目「Patterns」と6曲目「Stolen moments」から入ると良い。共に耳なじみが良く、心地良い。このアルバムの中ではその2曲に華がある。


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曲目は彼のオリジナル曲。始まりのピアノのメロディに疾走感がある。それでいて、ブルース感覚というよりは、知的で流麗。その疾走感のために、思わずリズムに合わせて体を動かしたくなる乗りの良さ。そのさなかに高揚感も魅せる。

6曲目はOliver Nelsonの曲。この曲はPhil WoodsAlive and well in Paris』にも収められている。そのアルバムも名盤。ここの6曲目は静かに淡々と始まりこの曲のメロディに入るとこれから始まる期待に包まれる。このメロディは歯切れが良く、じわじわと持ち上げる。そして、ジャマルは上手にまとめてこの曲を締める。


アルバム全体としては一曲もがっかりする曲がなく、充実の出来。隠れた名盤と言えるだろう。BGMとしても聞けるが、身を入れて聞くと、このアルバムの奥の深さに佇み、つい笑みがこぼれることだろう。

2013年11月27日

ジャズピアノの化身

ジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニのドキュメンタリー映画『情熱のピアニズム』が、2014.3.12にDVDで出る。コレクターズエディションは二枚組で、ソロとトリオの演奏が100分ほど。

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彼は全身の骨が折れて生まれてきた難病を持っていた。そのため、大人になっても身長は1メートルほど。ジャズピアノに徹底的に打ち込み、ジャズには誠実に向き合ってきた。
好奇心旺盛。自由奔放。女性にとって彼は裏切り者。だが、彼の周りにはいつも女性がいた。そんな36年を駆け抜けた生涯。


Image_2ペトルチアーニのアルバムで勧めるなら"Live at the Village Vanguard"(1984、ブルーノート)。起伏に富んだ美しさ。全体的に知的な佇まいで流麗。抜群の技術の持ち主。それでいて聞く者に嫌味を感じさせない感覚の良さ。特にこのアルバムはビル・エバンスを意識している。場所はエバンスも演奏したビレッジ・バンガード。このトリオのドラム、エリオット・ジグムンドがエバンスと組んでいた。1曲目がエバンスの使っていたマイルスの曲「Nardis」から始まる。エバンスに挑んだ作品でもある。それでいて彼の個性も生かされている。エバンス好きにはぜひ。

2013年2月13日

ミンガスのブルース

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Charlie Mingus(b)"Blues & Roots" '59

全曲チャールス・ミンガスのオリジナル曲。収録曲の「モーニン」はアート・ブレイキーのそれとは同名異曲。アルトにジャッキー・マクリーン、ピアノにホレス・パーランが入っている。最初の3曲が聞き所。レコードで言えばA面にあたる。

A面はブルース色が濃厚。つまり、泥臭くて、熱い。時折雄叫びが聞こえる。9人編成のモダンジャズで、見事にミンガスの色にまとめられている。それは闇を知った男氣。そんな格好良さがある。ほとばしる熱、骨太な土のにおい。バリトンが入っているので上擦った調子が全くない。重心が低い。こわもてのミンガスが聞ける。

2012年11月17日

Michel Sardaby(ミシェル・サルダビー)

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Michel Sardaby(ミシェル・サルダビー)

 ジャズピアニスト。1935.9.4生まれ。フランスの海外県、マルティニーク島出身。
 '47年にニューヨークへ移住、'53年頃パリに戻った。'50年代はパリへ訪れたジャズメンと共演。詩情あふれる演奏は日本でもジャズ喫茶で人気を呼んだ。隠れた名人。
 '90年はサルダビーのファンにとっては夢のような年だった。初来日が実現し、その演奏を生で楽しむことができただけでなく、置き土産ともいえる『night blossom』というアルバムを吹き込んでいったのだから。当時は、静かなサルダビー・ブームみたいな雰囲気が確かにあり、姿を現すタイミングがとても良かったのではないかと思う。
(以上『ジャズ・ピアノ・トリオ名曲名盤』[別冊swing journal]より)


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Night Cap / Michel Sardaby Trio '70

 サルダビーの曲の中で「I’m Free Again 」が一番好きです。落ち着くバラードでオリジナル曲です。この曲はオリジナルの中でもサルダビーらしさが良く出ていると思います。
 最初のピアノの一音で引き込まれる。サルダビーが言葉少なに語りかけてくる。情緒あふれる美しさ。この曲のエンディングが切ない。行かないでくれ。
 サルダビーの至極の一品。


Michel Sardaby - I'm Free Again 「Night Cap」 Michel Sardaby (p) Percy Heath (b) Connie Kay (ds) Recorded in Paris 30,Oct 1970 Isque Debs

2012年10月31日

森川七月(なつき)"& Jazz"

森川七月(なつき)(vo)"& Jazz"('08年リリース)

彼女は低音のボーカルが魅力。ジュリー・ロンドンを思わせる。彼女はまだ若いので、ジュリー・ロンドンほどの「迫るもの」はまだない。それでも繰り返し聞きたくなる声を持っている。演奏がしっかりしている。アレンジも飽きさせない。 触れ込みにあったように満を持して出したアルバムだ。
ジャズを聞き込んだ聞き巧者もこのボーカルならうなずけるだろう。今後の期待を込めて。彼女を抱えているレーベルは大事に育ててほしい。2作目、3作目と間隔を置かずにリリースしたが、これは彼女のためになるとは思えない。このソロ・デビュー作のように、十分練ってアルバムを世に送り出してほしい。

Jazz森川はいい声を持っている。素直に格好良いと思う。見た目の可愛らしさに惑わされず、このアルバムをじっくり聞き入ってくれればと願っている。黄金時代のジャズマンと比べられるような、本格的なジャズシンガーになってほしい。

2012年3月 4日

ジャズのナベサダ〜生活の糧と自分を貫くこと

アルトサックスの日本の重鎮、渡辺貞夫。

彼の大ヒット作『カリフォルニア・シャワー』。今では聞くに堪えない。売るために時代に乗ったとしか思えない。

彼は元々モダンジャズの神様、チャーリー・パーカーに心酔していた。その本領発揮が『Bird of Paradise』('77年)。全曲パーカーの曲。バードとはパーカーの愛称。こちらの方がいつの時代にも聞き応えがある。聞き巧者を喜ばせるアルバム。だが、それほど売れなかったらしい。

この二作、前後して近い年に出された。生活の糧を得ることと、自分を貫くことの違いが、象徴されているように思えてならない。


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2012年2月 2日

Horace Parlan(p)"Us Three" '60

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5、60年代のジャケットは絵心のあるものが多い。このジャケットもそうだ。良く練られたデザインだと思う。
ホレス・パーランのピアノは好きだ。だが、このアルバムはベースのジョージ・タッカーが素晴らしい。特に1曲目の始まりのベース・ソロ。これにはしびれる。格好いい。
このベース・ソロには逸話がある。昔のあるジャズ喫茶でのこと。その店で初めてこのアルバムをかけた。このソロを聞いた客が全員ジャケットに振り向いたという。ジャズ喫茶ではそのときかけているアルバムのジャケットを客の見えやすいところに飾ってあるのが通例のため。それだけこのベース・ソロには聞き手を惹きつけるだけの強い印象を与える。
このアルバムはジャズ好きには知れた名盤である。

2011年1月 9日

ジャズに惚れ直す

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You must believe in spring / Bill Evans

ジャズに疲れて、ジャズのアルバムを取り出すのにためらうようになったとき、何氣なくこのアルバムを聞いた。
美しい。ジャズに惚れ直した。ただ、このアルバムのボーナストラックの3曲は一度聞けば十分。それより、レコード初出の曲順通りの最初の7曲が素晴らしい。'B Minor Waltz'から'Theme From M*A*S*H'まで。一曲一曲が深く、その組み合わせも優れている。'Theme From M*A*S*H'を聞き終えたときの言い知れぬ幸福感。この曲順だから、最後の曲が終わったときにあの余韻が残る。このアルバムはその7曲が総て。これらの曲は粋なジャケットと良く似合う。

ちなみに、国内盤の帯には後期エヴァンスの代表作とある。

ビル・エヴァンス(p)
エディ・ゴメス(b)
エリオット・ジグムンド(ds)

'77年録音

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