« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »

2015年8月

2015年8月19日

心が静まる (藤平信一『心を静める』)

 藤平信一(とうへいしんいち)氏は、心身統一合氣道の会長。二代目の後継者。彼はプロ野球選手などのプロアスリート、音楽家などのアーティスト、会社の経営者にも指導をしている。合気道の数ある流派の一つ。この流派の基本は「心が身体を動かす」。本書はこれに基づいて心を静める方法を説く。
 本書は心と体の関係を心身一如と心身分離で説明する。例えば、外出するとき、家に鍵をかける。そのとき、鍵をかけることにしっかり意識を向けていれば、鍵をかけたことを忘れない。心身一如。一方、考え事をしながら鍵をかけたとき、鍵をかけることにしっかり意識が向いていないとき、後で鍵をかけたか不安になる。心身分離。これが、心が身体を動かす一例。
 そして、心と身体は同時に鍛えるのが良いという。そのための正しい姿勢を説明する。学校で教わる「氣をつけ」の姿勢を一般的に正しい姿勢だと思われている方が多いと思う。ところが、その姿勢は間違っていると言う。その胸を張った力んだ姿勢では不安定で、誰かに肩を軽く押されただけですぐぐらついてしまう。そうではなく、力まずに、自然で楽な姿勢でも、安定した姿勢がある。肩を押されてもぐらつかない安定した姿勢。それを写真を交えて説明する。
 その自然で正しい姿勢ができた上で、臍下(せいか)の一点を説明する。臍下の一点とはへそ下の一点のことだが、この考えはこの流派独特なものだと思う。古来、臍下丹田と言われてきた。その下腹が大事だと。「田」は広く面積を指す。本書では面積ではなく、下腹の一点に心を静めるのが大切だと説く。
 そこで、「氣の呼吸法」が出てくる。これもこの流派ならでは。この呼吸法は、初代の故・藤平光一氏が確立した。生きるか死ぬかの戦場体験を通じて。だが、この呼吸法は正しく行えば、楽に呼吸できる。これも写真を使って分かりやすく説明する。この呼吸法の活用例を挙げてみる。

① 持っている力を発揮する
② 正しい判断を行う
③ 感性を磨く
④ コミュニケーションを円滑にする
⑤ 質の高い睡眠を得る
⑥ 自分の心と向かい合う
⑦ 健康のバロメーターにする(血行が良くなる)
⑧ 心のとらわれを外す

 「心のとらわれ」について、彼はこんなことを言っている。

「いったん何かに心がとらわれると、心を使うことができなくなります。大事な場面で実力を発揮することもできません。これがいかに恐ろしいことかおわかりですね。呼吸を静め、心が静まった状態で自分の心と向き合うことで、自分が何にとらわれ、何にこだわっているのかがわかってきます。心のとらわれが外れたら、あとは簡単です。本来向けるべきことに、心を向けるだけです。」(幻冬舎文庫、167頁)

 一度通読して、本書の考えに納得したら、氣の呼吸法も試してほしい。1日15分、2週間やってみて、その効果を検証してほしい。
 自分はこの呼吸法で随分助けられた。これで怒りが収まり、落ち込みから立ち直り、体の凝りが楽になった。
 この呼吸法の確立者・藤平光一氏は、氣の呼吸法の究極の姿をこう表現する。「我れが天地か、天地が我れか、即ち、天地と一体となる至妙境に至る」と。自分もその境地に到達したいと、氣の呼吸法を続けている。

 最終章で信一氏は、感謝の心が大切と言う。当たり前だと思われる向きもあろうが、実際に感謝の心を持つ人は多くなく、形だけの感謝に留まっていると言う。

「感謝の心は、本当に心が静まった状態ではじめて生まれるものです」

« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ