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2015年7月

2015年7月29日

哲学とは何か

「あなたにとって生きるとは何ですか」

 こう問われて即答できる人はどれくらいいるだろうか。おそらくためらう人が多いのではないだろうか。

 この「何ですか」、「What」と問うことが哲学である。人間とは何か、など。哲学は予備知識はいらないかもしれない。「人間とは何か」だから。それに対して、科学は「How to」、「いかに」と問うこと。つまり、分析。専門になるほど細かく分ける。だから、人間を総合的なものとして、人間とは何かと問うのが哲学。

 哲学を英語で「philosophy」という。「philo」は愛、「sophy」は知(知恵)。これはギリシア語からきている。ちなみに、ヨーロッパの言葉はほとんどがギリシア語かラテン語が語源になっている。とにかく、知恵を愛するというように、学問に対する知的好奇心を哲学という。それは物の道理についての学問とも言える。

 哲学は進歩しない。答えは無限にあるため。一方、科学は進歩する。基礎から応用に発展するように。だから、最先端の科学はあっても、最先端の哲学はない。哲学には時代による優劣がないため。

 哲学の始まりは「驚き」。すごいと尊敬し知恵を愛す。古代の西洋哲学はそうだった。宇宙や自然に深い愛着があった。これは一時的な興味本位とは違う。この尊敬は愛着を含めた驚き。17世紀の近代の哲学は「懐疑」。それはデカルトから始まる。「我思う、ゆえに我あり」。疑いきれない自分の発見。これは古代から続いてきたアリストテレス哲学の否定であり、古代のプラトン哲学の復活である。つまり、アリストテレス哲学の生物学よりも、プラトン哲学の物理学や数学に重きを置くことになる。この近代の懐疑から、現在に至る科学が生まれた。科学は疑いの精神。だから、権力などに支配されてはいけない。

 「What」と問うことで、人間が生きる道しるべになると思う。

 

補記

 哲学に興味のある人へ。

 山本信『哲学の基礎』北樹出版

 著者は哲学の理解の深さに定評がある。哲学とは何かから始まって、その主要な問題群を個別に説明している。だから、これで哲学の全体像が分かる。書名に「基礎」とあるように、哲学に分け入って困ったら、この本に帰ることができる。

2015年7月22日

嘘は悪か

嘘をつくことは悪いことだろうか。

大抵の人は悪いと思うだろう。嘘ばかりついていると、誰からも信用されなくなるからだ。それでは、あなたは嘘をついたことが一度もないのか。これも大抵の人は嘘をついたことがあるだろう。

哲学者・サルトル(1905-1980)はフランス人の女子高生を相手にこんな統計を取った。

①「あなたは嘘をついたことがありますか?」

―「よく嘘をつく」 50%

―「とてもよく嘘をつく」 20%

―「ときどき嘘をつく」 20%

―「嘘をついたことがない」 10%

②「嘘は非難されるべきですか?」

―「はい」 95%

―「いいえ」 5%

①の「嘘をついたことがない」と言う人は本当だろうか。にわかには信じがたい。つまり、大嘘つきと思われる。ごく一部の人だけが嘘をついたことがないのかもしれない。とすると、①のどの回答も約100%の人達が嘘をついたことがあることになる。

その一方で、②の質問は大半の人が嘘は非難されるべき、嘘は悪だと答えている。

この統計から、ほとんどの人達は嘘をつくのに、嘘は悪だと思っている。

では、嘘にはどういったものがあるだろうか。ここでは良い嘘と悪い嘘の二つに分けて考える。

前者の良い嘘とは、いわゆる「嘘も方便」のこと。これは時と場合により許される。

例えば、命に関わるようなこと。一昔前の日本の医療現場では、余命数ヶ月の重病患者本人には、医者は病名を告げず、その家族にだけそれを伝えた。このような嘘を条件つきの嘘と呼ぶ。この条件つきの嘘は、常識がある。

次に後者の悪い嘘について。哲学者・カント(1724-1804)は、嘘は絶対的悪と言う。前者の条件つきの嘘に対して、こちらは無条件的に否定する。嘘は絶対だめ、と。これは一見、非常識に思える。カントはただの堅物なのだろうか。そのせいか、当時のカントは非難されたり、からかわれたりもした。しかし、よく考えてみると、「嘘は絶対的悪」という大前提があるからこそ、嘘は良いか、悪いか、日常的に葛藤し、選択できる。嘘の歯止めにもなる。もし、嘘が絶対的善だったら、誰もが平氣で嘘をつく。社会が成り立たなくなってしまう。

このように、哲学はとても身近な日常に潜んでいる。

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